「日本家屋」と呼ばれる古くからある木造家屋は、文字通りシロアリの大好物である「木材」が中心となっておりますが、意外にもシロアリ被害は少ない傾向にありました。
畳中心の床材、すっきりとした天井裏、雨の侵入を防いでくれる庇(ひさし)の存在等、風通りが良い上に湿気が籠り辛い構造となっており、さらに「縁の下」と呼ばれる床下は目視がし易く、害虫の存在をすぐに確認できるという特徴があり、シロアリは定着するケースは稀であったのです。
近年、基礎や床材にはコンクリートやALCパネルといった材料が利用されるようになりましたが、非常に高い耐震性・耐火性を誇る反面、通気性は悪く、湿気の籠る空間が増えてしまいました。
皮肉にも耐震性を上げるための工事がシロアリを繁殖させる条件を整えてしまったのです。
事実、ここ30年でシロアリ被害に遭う家屋は増加しており、今後も増加していくものと推察されます。
他にも、外来種であるシロアリの登場により、2~3階から家屋への浸入を許してしまったり、庭に植えた木々を食い荒らしてしまったり等の被害もあり、日本の全ての家屋は現在「決して油断は出来ない状況」に陥っていると言っても過言ではありません。
実際に起きたシロアリ被害の事例をまとめましたので、現在お住まいの家屋と照らし合わせ、傾向と対策を予習しておきましょう。
被害に最も遭いやすい!床下のシロアリ被害事例
シロアリが好む場所No.1の「床下」は薄暗い、湿気が多い、エサが豊富にある等、繁殖の条件を全て満たしている最も危険な箇所です
家屋の床下にシロアリ被害が出てしまったケースをまとめました。
埼玉県・田代さんのお宅(一戸建て)
田代さんのお宅は昔ながらの平屋の1階建てですが、高齢という事もあり周囲や軒下の手入れは数年怠っている状況でした。
先日、縁側周辺に大量の羽が落ちているのを発見したため、急遽駆除を依頼しました。
静岡県・匿名さんのお宅(一戸建て)
築60年と長い間頑張ってくれているお宅ですが、先日玄関周りに羽のようなものを多数視認したようです。
よく見ると玄関の段差の奥には空洞が広がっており、シロアリが知らず知らずのうちに繁殖を繰り返していた形跡がありました。
一戸建て玄関周り玄関周りに出た事例を見る
アパートは要注意!2・3階のシロアリ被害
一軒家以外でも被害は多数報告されています。
特に、木造アパートを中心とした2~3階建ての建物では壁の通気口等の高い場所からの侵入も確認されており、油断は禁物です。
2階以上の階層では飛来によって定着を行う事が多い「アメリカカンザイシロアリ」「ヤマトシロアリ」等の被害が多数報告されています。
広島県・桐井さんのお宅(2階建てアパート)
築40年程の(平屋2階建て)にてアパート経営を行う桐井さんは、2階に住む住人の方から床が軋むという報告を受けたため、軋む床を調査した所、内部は
シロアリの食害によって完全に腐りかけており、周辺の壁にもシロアリの食害を確認されました。
2階建てアパートの被害事例を見る
神奈川県・三輪さんのお宅(2階建てアパート)
三輪さんはの2階建てアパートを賃貸し、生計を立てています。
先日、2階に住む方から「大量のシロアリの羽らしきものがある」と通報があり、急いでシロアリ駆除を専門に行う業者に調査をしてもらったところ、窓枠の木材部分に食害が確認されました。
こんなところにも!庭、花壇等のシロアリ被害
ガーデンニングや団らんを楽しむための庭や花壇等もシロアリの餌食になる可能性があります。
特に、木製の机やベンチ、樹木を始めとした植物を食料とし繁殖するケースが目立ち、該当するお宅では予め対策を行う事が望ましいでしょう。
神奈川県・新田さんのお宅(一戸建て)
ガーデニングが趣味という新田さんのお宅では、樹木を始めとした多くの植物を庭で栽培していました。
先日、ガーデニング用品を入れるための木箱にシロアリの食害が見られたため、周辺の木々を確認した所、シロアリの繁殖が確認されました。
早期発見だった為、駆除業者により早急に駆除して貰った事で事なきを得たようです。
庭のシロアリ被害と駆除方法の詳細を見る
富山県・前山さんのお宅(一戸建て)
富山県在住の前山さんは、自宅の庭にてバーベキューや家族や友人との団らんを頻繁に楽しんでおり、置物や机、ベンチ、椅子、フェンス等は全て木製の物で統一するなど、非常に拘りのある庭に仕上げていました。
先日、掃除のために置物を移動させたところ、置物があった場所から何やらもぞもぞと動く虫が・・・
物置の被害事例を詳しく見る
春先から夏は要注意!
シロアリは春先から梅雨が明けた初夏辺りまでが最も活発になり、繁殖や移動を繰り返します。
しかしながら、繁殖時期外であっても、それは活動が遅くなるだけで、一度住み着いたシロアリは絶えず見えない場所で活動を行っており、決して死滅するわけではありませんので油断は禁物です。
事例と同じ若しくは近い環境であるお宅であれば、常にアンテナを張り、予防や対策を行っていく事が家屋を長生きさせる手段と言っても過言ではありません。
DIYで予防する事も大事ですが、万が一シロアリが出てしまった際には決して無理をせず、シロアリ業者への依頼を判断するのも選択肢の一つです。