被害を受けやすい家屋
家屋に深刻なダメージを与えてしまう恐れのある厄介なシロアリですが、どのような家屋が被害を受けやすいのでしょうか?
これに関しては、国土交通省補助事業「シロアリ被害実態調査報告書」に築年数別での被害状況、シロアリ対策を行った家屋での被害戸数、地域別(湿気が多い地域・寒い地域)での被害等が調査されているので、こちらを参考に解説していきたいと思います。
自分の自宅がシロアリ被害を受けやすいのか、まずはチェックしてみてください。
築5年以上はシロアリ被害が増える
国土交通省のシロアリ被害実態調査報告書によると、木造建築家屋が築5年以上になると急激にシロアリ被害が増えています。
築5年未満の場合はほぼ0%のシロアリ被害が、築5年以上になると5%まで一気に増えるのです。たった5%と思うかもしれませんが、20戸に1戸の建物が被害を受けているとすると決して少ない数字ではありません。
築10年を超えるとシロアリ被害は10%を超えており、築20年では15%、築45年を超えると30%を超えます。
つまり、築年数が増えれば増えるほど、それに比例してシロアリ被害の確率は増える傾向にあるのです。
防蟻処理の重要性
防蟻処理とは、文字通り蟻を寄せ付けない防虫効果を家屋に施す処理を指し、新築物件ではほぼ行われています。
この防蟻処理の有効期間は一般的には5年前後であり、この期間が経過してしまうと、シロアリが繁殖する可能性が高まります。
前述したこの築5年以上の被害データを見てみると、防蟻効果が切れてしまう5年毎にシロアリ被害の確率が上昇するという特徴があり、予め対策を行う事が有効な手段であると言えるでしょう。
シロアリ対策を行った家屋では被害戸数が対策を行っていない家屋に比べて被害が10分の1と大幅に下がっているため、防蟻効果が切れる前に、しっかりと対策を行っておくことが重要です。
また、築年数が10年未満でシロアリ対策を行っている場合、被害戸数が0軒ということ点は非常に興味深い情報です。
常日頃の予防がシロアリ被害を防ぐ最も有効な手段と言っても過言ではありません。
地域別のシロアリ被害について
国土交通省補助事業「シロアリ被害実態調査報告書」では、地域別のシロアリ被害についてまとめがあります。
その中では、イエシロアリやヤマトシロアリが多く生息している九州や四国を中心とした、西日本での被害発生率が高くなる特徴があるようです。
長崎では全体の35.1%、大分では38.0%がシロアリ被害を受けており、非常に高い数値と言わざるを得ません。一方で、秋田などの北東北の地域ではシロアリ被害が全体で4.6%と報告されています。
3戸に1戸が被害を受ける西日本に比べて、気温が低く湿気も少ない東北は20戸に1戸しか被害を受けていません。これらを見る限りではやはり被害は比較的暖かい西日本に集中しています。
東北地方でのシロアリ被害
しかし、東北であればシロアリ被害が全く無いという訳ではありません。岩手ではシロアリ被害が25.0%とやや高めになっており、従来の常識とは違った特徴が出始めています。
この事態に対し、国土交通省の見立てでは、近年の温暖化や断熱性を高めた住宅構造が影響している可能性が高いと発表しています。
皮肉にも人間のより良い暮らしがシロアリ被害の増加に繋がってしまったのです。
そのため、従来ではあまり被害のなかった東北でも被害が報告されるようになってきており、今後も増え続けると予想されています。
被害の少ない地域であっても、シロアリ対策はきちんと5年ごとに見直す事を強くお奨め致します。