確定申告と雑損控除って?
意外と知られていないのですが、シロアリ駆除の費用は所得税控除の対象になります。
日本では一年に一度、税務署に対し、どのくらいの収入があったかを申告し、その所得に応じて「所得税」を支払わなくてはならず、この一連の手続きを「所得税の確定申告」と言います。
この手続きは、収入を得たのが一か所からのみで、かつ、会社側が源泉徴収等を行っている場合(特別徴収)には申告する必要が無いため、会社等にお勤めの方はあまり馴染みが無いかもしれません。
所得税は文字通り「1年間の所得」に応じて税率・税額が決定されますが、健康に生活していく上で必ず掛かってしまう費用等(病気を治すために要した治療費等)を所得から差し引いてくれる制度があり、これを「所得税の雑損控除」と言います。
シロアリ駆除費用は雑損控除対象!
所得税法には、「災害または盗難もしくは横領によって資産についての損害を受けた場合には一定の所得控除を受けることが出来る」という定めがあり、これがシロアリ駆除に要した費用が雑損控除の対象となる根拠です。
そのため、シロアリ被害の修繕やシロアリ駆除に使用した費用を確定申告の際に計上することによって、所得税が下がり、税率・税額を安く抑える事が可能になります。
なお、この時シロアリ被害や修繕を行ったこと及びその金額を証明する必要があるので、専門業者から領収書等をもらっておかなければなりません。
控除対象の条件
控除の対象になるにはいくつか条件があるので見てみましょう。
損害を受けた資産の所有者が納税者で無ければならない
税金を未納状態にしている人はシロアリ被害の控除対象にはならないということです。
普通に税金を支払っていれば気にしなくて良い条件だと言えますね。
駆除業者より害虫の巣を駆除すること
「駆除業者」とあるため、専門の業者へ依頼するのが必須です。
シロアリ被害を受けた資産が生活に必要なもの
「生活に必要なもの」とは、住宅そのものはもちろんですが、家具・衣類等も含まれ、これらがもし被害を受け、修繕に費用が掛かった場合には雑損控除の対象となります。しかし、事業用の資産、例えば貸し出している不動産や別荘、貴金属や絵画など1個の金額が30万を超えるものは嗜好品とみなされ、「生活に必要なもの」とはならず、控除の対象からは外れています。
控除される金額について
雑損控除できる金額は、下記の2つの内から金額が多い方が適応されます。
①…差引損失額-(総所得金額等×10%)
②…差引損失額のうち災害関連支出の金額-5万円
差引損失額の算出方法ですが、下記の計算式で求められます。
差引損失額=損害金額+災害関連支出の金額-保険金などにより補填される金額
具体的な例
シロアリ駆除の費用が10万円、被害を受けた床下の修繕に30万円、保険の適応無と想定してみます。総所得が300万円だと仮定した場合、1の計算式を使用すると下記のようになります。
①…駆除費用10万円+修繕費30万円-(総所得額300万円×10%)=10万円
②…駆除費用10万円+修繕費30万円-5万円=35万円
上記のようになり、②の計算結果の35万円が控除の対象となります。
このケースでは40万のシロアリ駆除費用が発生していますが、その内の35万が所得税の控除対象となるので、必ず確定申告を行いましょう。
控除で注意する点
控除対象はあくまで「駆除業者に依頼した場合に掛かった費用」なので、DIYで駆除を行った場合は雑損控除の対象外となりますのでご注意ください。
また、雑損控除はあくまでもシロアリ被害が発生した後の控除ですので、シロアリ被害の予防に使用する費用(メンテナンス・定期健診等)は雑損控除の対象外になる点にもご注意ください。
必要書類はしっかりと保存を!
確定申告の際には、駆除を行った事実やその金額を証明するために、シロアリ駆除が発行する契約書や領収書が必要になりますので、業者が発行した書類は大事に保管しておきましょう。
また、被災による被害を受けた場合は被災証明書も求められます。
被災の証明書については業者が発行する点検報告書や施行報告書などで代用が可能なため、万が一紛失してしまった場合には頼んだ業者に一度お問い合わせください。
補助金を交付している市区町村も
所得税の雑損控除はあくまで所得税(国)の制度であり、お住まいの地方公共団体(市区町村)では独自に条例等を設け補助金を交付している場合もあります。(例えば、シロアリ駆除を行った場合には1万円を交付する、といった内容です。)
金額や条件はその地方公共団体によって異なるため、駆除を行う場合には予めお近くの市区町村役場に問い合わせてみましょう。
そのような条例が儲けられていない可能性もありますが、もしあればお得にシロアリ駆除が出来ますので、是非活用してみてください。